B型肝炎訴訟、県内原告初の和解 金沢地裁で成立
2011.12.27 21:45|ニュースなどから|
B型肝炎訴訟、県内原告初の和解 金沢地裁で成立
集団予防接種で注射器の使い回しを放置した国の責任が問われた全国B型肝炎訴訟で、肝がんを患った福井県内の60代男性を含む原告3人と国との和解が26日、金沢地裁で成立した。県内原告の和解成立は初めて。
北陸訴訟弁護団によると、県内男性の和解金は、原告・弁護団と国との基本合意書で定める最高額の3600万円(弁護士費用を除く)。また同日、慢性肝炎を患っている県内の50代男性1人を含む5人が同地裁に追加提訴した。県内の原告は5人となった。
県内ではほかに、集団予防接種で感染したとして28人が提訴の準備を進めている。弁護団は「県内で苦しんでいる人は、勇気を出して提訴に名乗りを上げてほしい」と呼び掛けている。
B型肝炎に関する電話相談は泉法律事務所=☎0776(30)1371。
「人生狂わされた」 原告の男性悔しさ、怒り
B型肝炎訴訟で国と和解した県内の60代男性は、福井市内で記者会見に臨んだ。冒頭で「素直に喜びたい」とのコメントを読み上げたものの、「人生を狂わされた。考え出すと情けなさや悔しさ、怒りがこみ上げてくる」との思いを吐露した。
男性は1990年に感染が分かった。2003年には肝機能の悪化が原因で吐血し緊急入院、生死の境をさまよった。06年に肝がんと診断され、仕事を辞めざるを得なくなった。
09年に肝臓の移植手術を受けた。移植された肝臓の働きを維持するには、体の免疫力を抑える薬の投与が不可欠。2週間に1度、病院で免疫抑制剤の血中濃度を測らなければならず「注射のしすぎで血管が硬くなり、注射が痛い」と話す。それでも、抑制剤投与と血中濃度測定は「死ぬまでしなければならない」。
09年6月に県内で初めて提訴し、今年6月には菅直人首相から官邸で直接謝罪された。「首相が過ちを認めたので、基本合意書を受け入れざるをえない」と思ったが、それでも最大3600万円の和解金額は「全然足りない。国のせいで一生を狂わされた」と話す。
全国の原告と国との和解協議は始まったばかり。「全員の個別和解が早急に成立するよう、誠意ある対応と原因究明を切望する」と訴えた。
(2011年12月27日午前8時18分)
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